10月〜11月のSAIJI-KI
11月に書かれたネイバーさんへのメッセージ

太田淳志
「# Town」 SAIJI-KI 084:ここ最低3年の展望 11
前回の続きです。
前回の「SAIJI-KI」の最後は
「ただし、核のコンセプトがしっかりしているということが前提条件ですがね。」
で結びました。
この意味を少し掘り下げます。
客数、顧客数の割合等一定のデータはありますね。そして、近頃のお客様(顧客でも良いのですが)の動向の情報は把握していると思います。面談しているとこんなことが聞こえてきたりします。
「近頃どうだ?」
と問うと
①「リピートされているお客様(顧客)の満足度は非常に良いと感じています。」
②「売り物(もしくはコア・バリュー)商品の評価は高いです」
③「売り物のリピートが効いています」
と、凄く上手く行っているような報告を受けたりします。
冷静に考えると
①「ところでリーピートが効かないお客様はどうなの?」
②「それ、全てのお客様ではなくオーダーされたお客様のことだろ?」
③「リピートが効いているお客様であれば当たり前だよな」
つまり、お客様全般の話なのではなく、お店は商品を気に入ってくれたお客様の話をしているだけで、普通に考えれば当たり前のことを言っているだけです。もちろん色々な背景があると思うのでなんとも言えませんが、部下の方は大概バットニュースは報告を渋るものですしね。単純に客数の推移を見れば本質が見えてきますよね。
さて、色々なところで似た話をすることが多いのでまとめておきますね。皆さんのお店にはニュース性が高い「売り物」が存在するはずです。大概オープンしたり今までの過程で存在しているはずです。ところでその売り物やコンセプトは確実にお客様の元へ届いていますか?ポイントは「確実に」です。もしくは「高い確率で」です。
リピートが効いたお客様と、効かないお客様の違いはなんでしょうか?ごくごく単純なことだったりします。それは、売り物であればオーダーされていますか?もしくは確実にお客様の元に届くようなメニューになっていますか?サービスで言えば、必ずそのサービスを確実に受けていますか?
それをお客様任せにしていることがあります。よく話すのですが、お客様はお店を嫌いになるためにご来店いただいているわけではないですよね。特に初めてのお客様は。
では好きになる、もしくはトレジャーハンティングのように何気なく来たけど良いお店を発見した、と思ってもらうことがお客様も望んでいるでしょう。現場がお客様とお店のWIN-WINの状態を作ることになることを避けて、都合よくお客様が決めることなのでとエクスキューズしているとは言えませんか?
よくよく考えたら、私が好きで通うお店は、いくつかパターンがあるのですが、逆にそうではないお店の特徴は、「このお店なら今までのお店の方が良い」と感じるか「この商品、サービスであれば他にも沢山ある」であったりすることがあります。
私が気に入っているお店は必ずシグニチャーがあります。商品、サービスの関わらずです。フレンチの場合はアミューズや一皿目に出てくることが多い。和食店やCAFEでもそうです。
つまり、お酒が入ったり、満腹度が増したりしてからではないのです。どのタイミングでその商品やサービスにリーチ(届いているか)されているのか絶妙な「タイミング」で提供されたりそのサービスに接したりしています。
例えば、予約も同じです。まず「ダメッチ」は声のトーンが低い。ルーティンのように扱われる。一気にトーンが下がる。それにCEPを確認しない。利用機会はどのようなものであるのか確認もしない。であるのなら来店しても単純に今後の利用動機の強化や口コミに寄与しない。個別対応が期待できないから。せっかくのタッチポイントの機会を台無しにしている。
要は一言で言えばCEPの積み上げや強化が上手い。「ダメッチ」は機会損失が多い。これに尽きます。しかし、スタッフの人数が多いところはこれだけでも足らない。それは次回に。
「# Town」 SAIJI-KI 083:ここ最低3年の展望⑩
今日はまずはこの2つの話から
CEP:カテゴリー・エントリー・ポイント
CEPはもともと購買/利用目的や購買/利用機会の記憶連想のことです。お客さまに向けてブランドをどう思ってもらいたいのか、どういう時にブランドが想起されるかということです。そして、その記憶連想が利用機会を生み利用や購買につながります。まずは大きくどの様なカテゴリーがあるのか、店舗運営をしている事業の例で考えるとわかりやすいと思います。
CES:コンシダラブル・イボークド・セット
CESはあるカテゴリーでの人の商品の購買(お店の選択含む)は時々で変化はしますが概ね決められた選択肢の中から選ばれるという考え方をします。そして、このカテゴリー(頭の中にあるCEPのカテゴリーの情報、想起集合)における幾つかの想起される選択肢の束ことをCES:コンシダラブル・イボークド・セット(エボーグドとも言う)といいます。利用して納得性が高ければ当然CESに留まる可能性が高いわけです。これもVGFと「繋がり方:関係性」の変化を考慮しなければなりませんが。そして、CESに通常3つほどの選択肢の中から選ばれることが多い。4つ目以降はなかなか記憶に上がってきません。
言い方を変えれば、CEPは利用機会の拡大を目指し、CESに入り込むには利用動機の強化をすると考えても良いと思います。
さて、今回はCEPのお話なのですが、再度理論を提示しておきます。
【CEP(ブランドに対する記憶連想)が多いほど市場シェアが高い、つまり選んで頂ける確率が高い】
ここを勘違いすることがあることもあることを理解してほしいわけです。
心の中で、数打てば当たるでしょ?と考えた方。正しいんです。その通りなのですが、ここで「ヨッチ」と「ダメッチ」の境目があることを知っておいてほしい。数打って得られるものはなんでしょうか?もちろんヒットコンテンツ、キラーコンテンツに当たればそれはある意味努力の成果、コツコツ積み上げた成果として考えても良いわけですが、本来の意図からするとそれより他のところに本質があるわけです。
それにはもう一つの理論、ま、事実ですね、を知っておくべきです。
【ブランドのコンスタントな利用者はヘビーユーザーとは限らない】
ということです。
ここでのポイントは2つ。コンスタントの意味とライトユーザーの重要性です。顧客そのものの定義を考えればわかるわけですが、1つ目のコンスタントと言う言葉の意味は、顧客によって違うということ。1年に5回以上利用する顧客もいれば、1年に1回もしくはそれ以下の方もいると理解すること。
2つ目はライトユーザーの大切さです。あれ?太田がいつも言ってることと違わないか?と思うかもしれませねん。違いませんよ。SP〜会員登録までの流れ、V〜Fまでの流れを強調していたのに。。。この部分ですね。これはつまり、一度利用していただいたお客様をF客までどのように誘導するかという仕組みの話ですね。
つまり、顧客によってCEPは違うわけで、そのCEPを元に(もしくは5つにカテゴリー分けしたとしてもCEPごとに)その仕組みは必要なわけです。この仕組みをCEPの理解なしに進めると何が起こるのかと言えば、そうです、少ないCEPによって成長が毀損されてしまうってことです。
総顧客数というのは、あらゆる利用機会で利用され、的確なオペレーションや仕組みによって利用動機が強化されCESにエントリーされているお客様の総数です。CEPを拡張するということはやはり、顧客数の最大化を目指す上で大切だということ。
どんなCEPでも、つまり1年に一回しか利用されなくても、そこが入り口(エントリーの機会)となっていただければ良いわけで、そういう意味で、やはり
【CEP(ブランドに対する記憶連想)が多いほど市場シェアが高い、つまり選んで頂ける確率が高い】
というのは事実として考えないといけないと思いますよ。
ただし、核のコンセプトがしっかりしているということが前提条件ですがね。
「# Town」 SAIJI-KI 082:ここ最低3年の展望⑨
昨日のDO-JOで河村さんが良い意見を頂けましたので補足をします(補足するチャンスをいただけたということです)。
要は
「業績を考えた時、戻らなければならないのはCEPの話よりもニッチの原則ではないか」
ということですね。
正しいわけです。そもそも業績が悪い場合は二つあって、一つは「無理筋」。そんなことやっていてもね・・・というやつです。もう一つは、好きで始めたは良いが、本当にダメなのであれば店じまいすれば良いのですが、そこそこできていているが目標値(損益分岐点売り上げや顧客)に届かない場合もありますね。
その場合、リセットして一から(改装や一度閉めて新たなコンセプトでオープンする)できれば良いのですが、そういう環境にない場合もある(様々な理由がそこにはあります)。
河村さんの意見は、元を見直せば、ブラッシュアップすれば良いという意見。ですから正しいわけです。そもそもその「質」を上げるということ。昨日申し上げたのは「質」と「量」の比較の話でしたが、この説明や表現では少々足らないことがあるので補足をします。
前回のSAIJI-KIで述べた通り
【CEP(ブランドに対する記憶連想)が多いほど市場シェアが高い、つまり選んで頂ける確率が高い】
のは理論というか事実なんですね。実際河村さんのお店のCEPは元のコンセプトもその理由ではありますが、私にとっては他のお店よりかなりCEPが多いわけです。人に紹介もずいぶんしましたが、その方によって伝え方は変わります。
ただしそのキーマンは河村さんや山田さんという個人に起因しています。(実はこれをシステム化、デジタル化するのがSP〜会員制度なわけですが、ですから言語化/データベース化しろと言っているのですが)
しかし、こんな使い方しかできない、というお店は利用機会が限られているわけですから徐々に「ダメッチ」に転落していきます。一つの使い方しか利用機会がなくても成り立つ、そんなお店ほ実はとんどないですし、相当の顧客数を時間を掛けて作ってきたか、または都会の一部の立地しかないわけです(言い方を変えれば顧客に頼らず業績を上げられるにはということです)。立地そのものが売り物だったりしますから。ましてやコロナ禍が緩んできたら習慣が一旦リセットされますから。無理筋です。
あと一つ理由があります。始めのCEP、お約束、利用機会(動機も含めて)は必ずエントロピーに捕まります。つまり劣化の一途をたどります。レシピやルールと同じです。経時劣化していくということです。島で1店舗しかない飲食店ならともかく。
持続可能性とはどういうことかというと、やはり100人に1人のCEPであっても、1年に1回の利用機会であっても拾うことです。それをクロスオーバーできる仕組み。これは1人が抱えていてもできないわけで、これを助けてくれるのがデジタルなわけですね。
CEPを広げると店が何でも屋になってしまうのでは。。。と過去よく言われました。これが過去のマーケティングの負の遺物だと気付いていない方の特徴です。今はデジタル時代です。そしてこれはデジタル化思考と直結するわけです。ここが理解できていない方も多い。時代が変わったのです。
私が言っているのは、CEPを増やす「SP〜会員制度」というのは、ある意味仕組みの話です。V〜Fまでのプロセスの話です。この仕組みがそもそもなければどうやってお店のスタッフが顧客を創ることができるでしょうかという視座です。
ドラッカーの格言で好きなものの一つは
【マネジメントで大切なのは凡庸な能力の働き手に凡庸ではない成果を出させること】
というのがありますよね。これは一言で言うと「エンパワーメント」のことです。
つまり、特殊な能力(例えば河村さんや山田さん)を持ち得ないスタッフに成果をあげさせることです。つまり、初めに作られたニッチャーとしてのCEPというのはおおよそ、オーナーやそれに準ずる方の能力に帰属することが多いわけです。
それで持続可能か?という視座から見て欲しいわけです。つまり、別の言い方をすると、目の前にお客様がいます。そのお客様に対するスタッフが刺さる「矢:CEP」をそもそも持っていないのか、一つしか持っていないのか、何本も持っているのかの違いだということ。
多くのスタッフはお店という「弓」(お店そのものの)は持っていて、そこには一本の「矢:CEP/コンセプト」しか持ち得ません。実は「矢:CEP」すら放たない状態(CEPを理解していない)のスタッフが多いということ。この視座はマネジメント上の不備だということも言いたいわけです。
そしてこの「矢:CEP」をいくつか持っているスタッフのことを別の言い方をすれば「リーダー」というのではいかと思うのです。お店をそつなくこなせるスタッフがリーダーだと勘違いしている方が多いのではないかと思うわけです。一本の「矢:CEP」で事足りるのは、その「弓:お店/コンセプト」と一本の「矢:CEP」だけで動員でき、潤沢な顧客ができる/利益をあげられるお店だけだと思うんです。そんなお店は皆無です(笑)。これがマネジメント/育成の視座。
さらに、もう一つの視座。「矢:CEP」が多いということの意味は、利用機会の増大を意味します。お客様がどんな利用動機であっても利用するきっかけになって頂けるような「矢:CEP」を持つこと自体が新規利用客の増加につながるという側面もあるからです。
まとめますと、ニッチャーが持ち得る「矢:CEP」は本来一つです。その「矢:CEP」だけで成り立つのであればそれに越したことはないわけですし、そもそもその「矢:CEP」をブラッシュアップすることは非常に大切なことだと河村さんに指摘していただいたのだと思います(林くんはよくよく考えなさい)。それすらできていないのであれば新たな「矢:CEP」など考えるのはどうか?ということだと思います。その通りです。
理解を促すためにあえて言うと、河村さん/山田さんのお店はもうすでにいくつかのCEPができています。個別対応の中で。しかし、さらにこのCEPを増やす目的はマネジメント/育成の側面と新規利用機会の増大という永遠に取り組まなければいけない側面があるということです。
あと一つ
全てのビジネスは顧客のジョブを解決するためにある。
顧客のライフスタイルを豊かなものにするためにある。
これ以外ないと思います。
注釈
実際河村さんのお店のCEPは元のコンセプトもその理由ではありますが、私にとっては他のお店よりかなりCEPが多いわけです。人に紹介もずいぶんしましたが、その方によって伝え方は変わります。
ただしそのキーマンは河村さんや山田さんという個人に起因しています。
→
を砕けた言い方をすると、河村さん/山田さん個人が様々な個別対応や気付きの中で顧客と「繋がり方:関係性」を多様化できている。つまり顧客に刺さる「CEP:矢」を客層ごとに多重的に多く持っているということ。であれば、無価値化しているとも言えるし、それを価値化する仕組み/方法と計画があればまだまだ業績がみるみるうちに上がるのは見えているということです。
「# Town」 SAIJI-KI 081:ここ最低3年の展望⑦
良いニッチとダメなニッチについてお話しします。
私の経験では、ほとんどの事業はニッチから始まっている気がしてなりません。ですから迷ったらニッチの基本まで降りてくるべきだと、ニッチの基本を大切にしろと「# Town」では何度も言ってきたつもりです。
また「ニッチ」と「ブランド」は違うものだと考えている方が多いかもしれませんが、そもそもで言えば、商品やサービス、ブランドは、ニッチからスタートしている気がします。ニッチである以上独自性を大切にしていたからです。
ですから、ニッチでも持続可能な独自性、世界観を感じて買い続けてくれる顧客さえいるとすれば持続可能性は高いと考えられますね。もちろんプロダクト(商品、サービス等)のクオリティーは前提条件ですし、その状態で損益分岐点を超えていればなお良いのですが。
ニッチということは、既にブランドとして顧客の中で番地があるわけです。他とは違うポジションとして区別されているはずです。しかし、そこで止まっていては単に顧客数が小くとどまっているだけにすぎません。成長やリカバリーの必要であれば「ダメなニッチ」です。
「良いニッチ」というのは既にある提案価値を受け入れていただける方とは違う提案価値をすることで、つまり同じプロダクトでも例えば違うベネフィット(便益:顧客が受け取る利益や恩恵、報酬、有形無形の価値)を感じてくださる顧客を創ることで、業績がさらに良くなる可能性を持っているわけです。
そういう意味でも、
【CEP(ブランドに対する記憶連想)が多いほど市場シェアが高い、つまり選んで頂ける確率が高い】
という理論は正しいと思うのです。つまり、これは顧客以前のお客様に特に有効であるということでもあります。どんなビジネスでもそうでしょうが、いわゆるロイヤルティーが高いお客様だけで成り立つということは本当に稀です。大切なのはその道筋があるかどうか。
お店で置き換えれば、利用機会が多いほどお店を選んで頂ける確率が高いということになります(厳密さはともかくおおよそそう考えるとわかりやすい)自分の実体験からしても確かにその通りだと思います。気に入ったお店はいかなる利用機会でも利用しようとしています。そしてプロダクトの飽くなき進化により度独自性を強めることで利用動機が強化されていきます。つまりCES(想起集合)が強化されるということです。
そして、顧客以前のお客様にも有効であるということも忘れてはいけません。これが新規の顧客獲得につながるということです。つまり業績の上げ止まりはCEPの数に比例しているとも考えられるわけです。
では、このCEPはどこから調達して来たら良いのでしょうか?もしくはどうやってる作っていったら良いのでしょうか?小規模事業者には潤沢な予算はないわけです。大手資本のように大掛かりなリサーチにかける費用は存在しません。
単純に言えば、お客様に聞くしかない。もう少し丁寧に言えば、お店のコンセプトとお客様の「あいだ」に立って個別の対応する中で模索するしかない。そう考えるととてつもなく面倒な作業を繰り返さないといけないわけです。大手資本はその面倒臭さ等を回避したりデータの裏付けが欲しかったりするのでお金をかけてリサーチするわけですが。
具体的にはどうしたら良いのでしょうか。あなたがご利用される理由はなんですか?と直接聞くこともできるでしょう(フォーカスグループインタビュー等)しかし、我々を含めてお店を利用するということはほとんどの場合、深く考えずに反応、行動しています。
また、無いものに対する反応もできないわけです。実際に利用機会を提案し、利用動機を強化することが大切なわけです。この一連の流れが、SP〜会員登録までの流れです。(SP〜会員登録の流れが仕組みとして持てていないのであれば前提条件以前の話ですが)
つまり、個別対応を進める理由は、個別の利用機会を探り強化する(プロモーションはクロスオーバーする)ためにあるのですが、大きく捉えれば100名中1人しか刺さらないSPも見逃してはいけないということです。むしろそのような異常値?こそ注目すべきであろうと考えるわけです。これが、顧客をさらに増やす、顧客以前のお客様に有効である可能性もあるわけですね。
ですから「良いニッチ」とは一定のファンがそこには存在し、今後CEPを増やしていける状態。「ダメニッチ」とはある特定のCEPにこだわり広がりを拒絶している(ように見える)ニッチということになります。
事業の成長を考えた時、成長が止まっている時自分がどちらにポジションをとっているのか再考あれ。
「# Town」 SAIJI-KI 081:ここ最低3年の展望⑥
こんなことがあったということをお話しします。ある会社のプロモーションのことです。
別の支援先で「福袋」の販売がうまくいっているので(どの会社会社でも導入可能です)その会社にも企画を進めることにしたのですが、行動力が速いのか忖度したのかは別にして、今すぐやると言う。当然、「今はタイミングではない。」と伝えるわけですが、ここに大きな問題点が3つある。理解できるだろうか?
①プロモーションは何のためにあるのか
②そもそもなぜ福袋が売れるのかの理解と会社が置かれた状況
そして一番大切なことだが、
③世の中がデジタル化/階層化していることの意味
①プロモーションは何のためにあるのか
我々は小規模事業者でありニッチ戦略を指向している。マスの戦略をとっているわけではない。つまりプロモーションの目的も違う。ニッチ戦略は顧客創りに本質があるのに対して、マス戦略は全てはないとしたとしてもおおよそ売上アップにあると考えた方が良い。
つまり普通に考えれば「福袋」を顧客創りに使うのか、売上アップに使うのか、もしくはもう少し上の視座で考えれば、「福袋」を販売し顧客を創ることで(そのプロセスで)売上を上げるように組み立てる、と言うことになるでしょうね。
従って「福福」が売れている会社の例を出すまでもなくそのプロモーションの目的は顧客を創ること、新たなCEPを提案し、最終的にCESでの確率(座席の確保)をあげて持続可能性を追求することにる。
そしてそのプロセスは以前示した焼肉屋さんの例を出すまでもなく、そのプロセス、カスタマーサクセス、その細部のカスタマージャーニーにこそ真実がある。顧客を創ると言うことはプロセスをきちんと設計することが一番大切だということ。「福袋」という「もの」に注力すれば比べられれ、差別化戦略に巻き込まれ、最終的には資本に負ける。2度と立ち上げることができない。
(前回のDO-JOのトピック
参照のこと)
今はタイミング、つまり全て時系列的にプロセスを組み立て、そのプロセスに最適なものを選択することに注力すべき。
②そもそもなぜ福袋が売れるのかの理解と会社が置かれた状況
何度も言っているが、財布の中身はここ数十年変わっていないことは理解していると思います。給与水準は相変わらずOECD各国最低レベルです。つまり、この状態が続けばどうなるか必要なものしか買わなくなる。そしてさらに必要なものすら満ち足りてくるのなら(もうこれでいいんじゃない?)、もの(「MO-NO」)から離れ、「KO-TO」「TO-KI」「I-MI」に移っていきます。
そしてコロナ禍が行動制限等によりターボがかかった(促進された)。となると今の時代は消費そのものがディズニーランド、テーマパークに行くように何かの体験をもたらせてくれるものに集中し、そして何に使うのか、いつ何に使うのか選択と集中がなされるようになる。毎年、「福袋」や「おせち」が値段が上がり、予約の時期も早まってくる(まるで旅行に行く時のように)。
もう一点、会社はコロナ禍によりリカバリーに注力するようになる、つまり手っ取り早い業績の確保や現金の確保に躍起になる。するとどうなるか、「なぜ:Why」するのかよりも「なに:What」をするのか、そして最後は「いかに、どう:How」するのかに意識を集中させるようになる。さらに、そのことを理解しているベンダーはあえて「これをこうやると。。。」と強めのフックをかけ、最も簡単に釣り上げる。
③ 世の中がデジタル化/階層化していることの意味
デジタル化が進むということは、一つは誰でも情報にアクセスしやすいというメリットがあるものの、本来アナログ的な繋がり方やプロセスを切り取り、つまりそこをスポイルした文脈やナラティブさを無視した切り取られた情報に飛びつく危険があるということ。まるでそれが全てであるかのような錯覚を与えてしまう。
そして、②のことが理解できないのであれば、つまりプロモーションの目的も忘れ、積み上げたプロセスにも注力せず、単なる「もの」のみに飛びつくのなら失敗する確率を上げることになる。我々は失敗しない方法を身につけなければならないが、これではほとんど博打に近い。
その「福袋」がうまくいっている会社は「福袋」そのものに飛びついたのではない。その顧客創りのプロセスを根気よく何年も積み上げ、今の形になっている。そのプロセスに注意を向けず、現象のみ(「もの」)に飛びつくということはどういうことなのか、本質に理解が及ばないのだろう。
ここ何ヶ月か「見えないこと」に注力しろと言ってきてた。それは現象(「もの」)ではなく、「なぜ:Why」に注力しろということであり、プロセスや階層の「見えていない何か」を意識しろということでもある。(前回のDO-JOでのトピック
を参照のこと)
基本通り、ストラクチャーを組み立て(もちろんプロモーションも同じ)プロセスを重視しないと失敗しない会社には程遠い。
「# Town 」SAIJI-KI 080:ここ最低3年の展望⑤
さて、今回は業績アップの着眼点についてです。
業績(売上でも利益でもどちらでも良いのですが)を見た時目標値には届いていない、とします。届いていないのであればどのようなアクションを想像しますか?
通常
1:客数を増やす
2:単価を上げる
3:粗利額を上げる
4:他のコストを抑える
を考えるでしょうね。
1: 客数を増やす
客数を増やすには客数はどうやったら増えるのかを知っておくべきですね。
「客」と名前のつく言葉がいくつあるか知っていますか?
まず大きく分ける「未来店客」と「来店客」に分かれますね。
未来店客
まだ来店されていないお客様ですが、この中も
1)認知客:店の存在を知っているお客様
2)非認知客:店の存在を知らないお客様
に分かれます。
さらに認知客の中にも
①興味/関心を持てないお客様
②興味/関心を持っているが強くはないお客様
③興味/関心を持っているが機会がないお客様
④比較して検討しているお客様
が存在します。①以外のお客様のことを見込み客と言いますね。この見込みのことを営業/集客活動では「リード」と言いますね。リードの獲得、とかリードがある客とかいう使い方をしますね。
来店客
来店されたお客様の中でもお店と顧客段階によって3つに分かれます
1)V:ビジターの状態のお客様
2)G:ゲストの状態のお客様
3)F:ファンの状態のお客様
そして、それぞれの段階で離脱するお客様とG客で休眠、F客で休眠されるお客様が考えられます。
つまり「客」とつく言葉は最低でも16のお客様が存在し、新規客と顧客という言葉や過去客、未来客等も加えれば20以上存在することになります。つまり業績アップのためにはどのお客様を対象にして考えるのかが大切と言うことになります。ターゲットは絞らないと意味がないということでもありますね。
2:単価を上げる
単価とは
1)単品単価
2)購買単価/客単価
と分かれますね。
特に
1)は単純な値上げと高単価の商品を加えること。
2)は単品単価だけではなく、購買数も関係しますね。
また、取引回数を1回で見るのか期間で見るのか、でアクションが変わりますね。
他にも購買数も一回あたりで見るか、期間で見るのか、でアクションが変わります。
3:粗利額を上げる
粗利額を上げるには
1)率を上げる
2)額を上げる
に分かれますね。
1)率を上げる
は減価率を落とす、つまりコストを落とすもしくは値上げをすることを考えます。
2)額を上げる
は原価率は無視して、単純に固定符を意識して粗利額を増やすことを考えます。
4:他のコストを抑える
は単純にコストを絞る、または様々なムリ/ムダ/ムラをなくすことです。
さて、通常は示した中から組み合わせを選択して一定期間集中して実行することになります。しかし、それで上手くいかないから困っていると思うのですが、そのことがどうも伝わらないようで・・・
今回は5番目と言う形で方法を示します。
あえて言うと1〜4はお客様/顧客からの目線がないことに気付きませんか?つまり、もう一つ視座を上げる必要があるのです。先ほど示したのは「既存のやり方」からスタートします。つまり、なんだかんだ言っても過去の延長線上にしかないわけです。自己本位とも言えますし、「やり方」の方に目が入ってしまうと言うことにもなります。
実は「やり方」に目が行きすぎるとマネジメントの(実際には上からの)締め付けが起こりやすくなります。もちろん、現場のネジの緩みを見つけているのであれば適切に締め直すことは大切であろうとは思います。そもそも業績が下がっているのであればコストの絞りは厳しいはずで人件費も含め現場は疲弊気味であると考えられます。
しかし、今の時代は変化の時代と言われ、言うまでもなく価値消費が進み(コロナ禍で加速度的に進み)もはや我々小規模事業者は「モノ」を超えた消費の提案をしなければいけませんよね。ここ最近の「SAIJI-KI」この辺りをテーマにしています。
そうすると、根本的な考え方をも変化させなければならないと気づかねばなりません。るまり今までの考え方の習慣を変えなければならないと言うこと。
それは今の「やり方」だから今の業績だと考えることです。「やり方」の精度の問題ではない視座で捉える必要があります。ここが気が付かない方が多く居るようです。
「やり方」よりも「なぜ」と「何を」するのかをもっと深く考えないといけないことになります。よく言われる「How」よりも「What」「Why」が大切だと言うこと。つまり、以前よりも理念、コンセプトが問われると言うことです。
ここにも今の時代「顧客」からの視座の大切さが浮き彫りになります。今後しばらく間違えなく「顧客数」でビジネスの持続可能性が決まります。そして、顧客を創ると言う意味を今回の方向で考えるとすると、
「CEPを増やすことでCESを確保する」
ことが一番大切だと気付きませんか?
つまり、今まで想定している顧客とは違う顧客を創ることこそが大切だと言うことです。つまりこれってなんでしょうか?ブランディングそれに伴うマーケティングの基本ではないでしょうか?