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12月のSAIJI-KI

12月に書かれたネイバーさんへのメッセージ
 

                               太田淳志

 
 

「# Town」 SAIJI-KI 087:業績アップと抽象度の高い視座


今日は舘さんのお話をしましょう。ある勉強会で「1億」の事業計画を立てろと言われたそうです。
夢は野心は大きければ大きいほど良いのでしょうか?ま、人それぞれですね。それを願う人もいれば、そうでない人もいるでしょう。これは持論かもしれませんが、スケールを狙う狙わないは別にしてビジネスは「ニッチ」が始まりだと思っています。戦略上立ち返る場所だとも言えます。なぜなら「ニッチ」を意識するということは、差別化よりも独自化を意識することになるからです。今からの時代で生き残るには差別化ではなく独自化ですね。よってブランディングの思考と相性が良い。
さて、今回は頭の中で1億円への道を妄想してみます。案外シンプルで簡単です。
独自性はビジネスの中心人物(この場合は舘さんですが)個人の持続可能な独自性からスタートします(今回は省きますが)。そして顧客に独自の価値を提案できるようにストラクチャーを組み上げていきますね。
舘さんによる価値の提案は何か、それは「サプライズを贈りたい人と、贈られる人の思いを膨らませること」でしたね。核になるコンセプトだと言って良い。そこが風船屋さんと言われる所以だと。風船よりもその思いを膨らませろということですね。
こう考えると非常に単純でシンプルなものなのだと気づくわけです。そして「サプライズを贈りたい人」が舘さんにリピートをして新たなお客様がリーチできる仕組みをつくれば良いことになります。そして「思いを膨らませること」ここを突き詰めていくと客単価が上がっていくと言うこと。あとは生産量を増やす選択をどうするかの計画や手順をつくれば良いだけです。シンプルですね。
さて、「サプライズを贈りたい人」は一体どこにいるのでしょうか。生活者目線で考えれば、アニバーサリーを売り物にしているところは全てであるわけです。ケーキ屋さん、レストラン、ギフトやさん、花屋さん等、皆さん自身が大切な人のアニバーサリーをお祝いしたい時にどうするのかを考えればすぐに浮かぶでしょう。これはB TO C ですね。さらに、イベントのデコレーションというニーズもあるでしょう。これも元を考えれば来場者のサプライズを喚起できるかどうかですね。B TO Bですね。考えカは同じです。
コンセプト的に考えれば、特に舘さん自身のキャラクターを考えれば大組織を作ることよりも自分の信頼がおける少人数精鋭のチームでもごと動かしたいはずですね。何しろ「アトリエ」ですから。そう考えると、舘さんはいかに協力者と「繋がり方:関係性」を作ることができるか。今までの既存客との「繋がり方:関係性」をキープできるか。最近の言い方で言えば二つの方向性が必要になりますね。垂直展開と水平展開。
垂直展開は回数と客単価を上げる方向。それは今までの顧客に対して多くの機会を提供すること。単発で終わらない仕組みを持つこと。単純に言えばSP〜会員制度の流れがそれにあたります。
この業種は会員としての取り込みが他の業種よりも簡単です。会員になった方が「お得」にすれば良いのですから。「お得」価格よりも高い値段を非会員の価格にすれば良いですから。
そしてここもポイントですが受注から決済までを楽にすれば楽にすれば画像を見て発注が楽になれば、複写機を導入するとコピー枚数が増えるのと同じでデジタルを使って利便性を追求すれば利用回数も上がります。
そして、それと同時にどうやったらサプライズを膨らませることができるかということを徹底的に考え提案できる事例を多く持たないといけないですね。客単価を上げるスキルそのものです。
水平展開は風船屋では捉えきれないサプライズの機会(新たなCEP)を捉えるアライアンスを組むスキームを組む方向。この二つがあれば確実に業績は上がるわけです。
水平展開をするということはアライアンス先(ケーキ屋さん、レストラン、ギフトやさん、花屋さん等)への提案は相手のブランド価値も膨らませる提案になります。
何しろお客様への満足度を上げ客単価を上げるパートナーになり得るわけなのでWin-Winですね。ということは風船そのものの使用量が減れば減るほど組む相手が増えるわけです。ここがポイントですね。B TO Bの既存の顧客の場合は業種を水平展開すれば良いことになります。
計画はどうなるでしょうか。会員制度による利用頻度が向上したとします。そうすると休眠化も防げますから、顧客の積み上げも増すでしょう。そうすると既存の売り上げの増加分が今までの経験で30%近く向上されるはずです。年間2,000万円の売上であれば、約3,000万円のベースができますね。そして、現在20%ほどが新規客でリピート率が30%向上すると、3,000万円×20%=600万円。600万円×30%=180万円が積み増されることになります。つまり毎年垂直展開により離脱率(チャーンレート)が改善されることで毎年6%の売り上げ増が期待されます。福利ベースになるわけですから。1年で3,300万、2年で3,180万…5年で4,000円を超えます。
次に自身のコネクションの中からサプライズに関わることがある方とアライアンスを組むこと。一月最低1社と契約することをルーティン化します(一気に増やさないこと、コンスタントに増やすことが大切。)。企画書を作成し、バルーン等の価格別のバリエーションを示します。そしてリベートの比率取り決めをします。ここは仕組み化すれば良いでしょうね。「サプライズを贈りたい人」の思いが膨らむような特別サイトを作るのも良いでしょう。ま、「サプライズを贈りたい人」を集めてもらうために営業マンを雇ったようなものですね。
普通に計算すれば、一月に1回でも良いので受注できたとしましょう。1回に対して5,000円〜20,000円の売上があったとします。例えば年間50万円の売上だったとします(こんなに少ないわけはないのですが)。単純に、10社と契約すれば500万円ですね。
計画と考えれば、一月1社ずつアライアンスを組むと決めます。1年で600万は売り上げが増えますね。事例が増えれば増えるほど「サプライズを贈りたい人」の思いが膨らむような特別サイトの事例も増えますね。弾み車的です。5年で50社と契約できれば少なくと3,000万円は売り上げが増えます。100社なら6,000万円ですね。
とすると、前者と後者を足してB TO Bの水平展開をここに加えれば。。。7,000万円は軽く超えますね。1億に近づきましたね。実際はもっと綿密に計算します。
頭の中だけで論理性を働かせて計算すると1億の道が見えてきます。つまり、業績アップを妄想する時のポイントは一つ。視座をあげ、抽象度を上げること。そうするとCEPが増え、つまり今まで見えなかった利用機会という視点が獲得され道筋が見えてくるということ。
シンプルでしょ?
 

 

「# Town」 SAIJI-KI 085:マネジメントのタイミング

 
あるお店のリーダー(パートさん)から直接連絡がありました。 「プロモーションのフェーズが変わったので出勤前に昼のスタッフだけで集まって共有したいのですが30分ほど時間を使って良いでしょうか?」 と。 これだけ聞けば、自発的に仕事に取り組む姿勢は評価されるべき、と考えるでしょうか?でも、この時期内部の構造を考えればマネージャーは作業時間を圧縮してこれ以上の人件費はかけてほしくないと思うでしょうね。 一方で自発性、一方でコスト圧縮の工夫。さてどうしましょう。トレード・オフ(どちらか一方を取ればどちらか一方を捨てる)的な考えでは溝ができてしまう。皆さんどうされますか? 答えはその時々のマネジメントのフェーズで変わる。ということだと思います。会社やお店の戦略というのはそんなに簡単に変えられることではないのですが、現場のマネジメントを考えた時、世の中の流れやお店のチーム事情等を考えた時に短期的なフェーズで考えることは当たり前のことだとは思います。 以前から示した、そもそものマネジメントのフェーズという考え方があります。これはチーム・ビルディングにも個人んお育成にも当てはまります。 ①言葉を整えるフェーズ  使われる言葉の理解をして何をすべきかを自分の言葉で置き換え人に伝えられるようになる期間 ②習慣を身につけるフェーズ  個人の場合は成果よりも結果に重きを置いて「まずやる」ことを主眼に置く期間  チームの場合、少なくともリーダーが「まずやる」をガイダンスなし行動として習慣化される期間 ③目的を意識するフェーズ  なぜするのかを念頭に置いて成果に焦点を置いて行動をする期間 ④目標を意識するフェーズ  個人、チームとも目標を設定し目標を意識しながら行動する期間 ⑤チーム内で情報を交換しブラッシュアップするフェーズ  精度を上げるためにフィードバックを受け進化していく期間 簡単にいえばこうなります。 理解できている、と言う状態は③の状態のことですし、チームが動いている状態も最低③までできるメンバーが最低30%は存在していると言う状態です。 ここを間違えるとうまくいかないわけです。 そして、もう一つ例えば四半期とか、決められた社内のフェーズにおいて何を主眼点においてマネジメントをしているかという背景や方向性が定められていることがあります。これ、案外皆さん怠っている。現場は1年では長すぎます。(ある上場企業企業では集中力は90日以上持たないと考え4半期で決算を行なっているのだとか) おそらく現場のコミュニケーションの齟齬(物事が食い違ってうまくいかないこと)がどこで起こるかというと、長期的な方向性に基づく短期的な方向性を設定していない。もしくは徹底されていない、ということから起こることが多いと思うわけです。要は「なぜ」するのかという部分が伝わっていないことで起こる様々な齟齬がほとんどだということ。 そう考えて、マネージャーの葛藤を紐解くと、 「このプロモーションのフェーズが変わったばかりだから言葉を整えることに対してはコストを使わざるを得ない」 と考えるのが自然ですね。その上で、リーダーには 「今回は30分を目安に行ってください。ただし、工夫も大切です。今後は作業を圧縮して時間を作ることも同時にチームで考慮していただければと思います。」 という指示が適切になる、ということになります。 ここでハンドリングを誤る例を挙げると、マネージャーの中にはトレード・オフの意思決定に迷うと上司に確認しますね。まずそこで悩む。上司もこのフェーズの頭がないと、現場の意向とは違う作業時間を圧縮しろというかもしれない。そしてマネージャーはさらに悩み、返事が遅くなる。そして次の問題が振ってきて指示をしないまま、一週間がすぎ(その間に何度も顔を合わせているにも関わらず)リーダーは「何も決めてくれない」と不満を持ち、徐々に信頼関係が徐々に毀損されていく。。。とか。 私は現場の相談は24時間以内に処理をされないと自己効力感(エフィカシー)はどんどん下がっていき、言っても仕方ないと後ろ向きになると考えます。もちろん現場なりの予算が必要な件はそれなりの稟議が必要でしょうが、どんなに長くても3〜5日で処理をしないと同じことが起こります。 もう一つ、マネージャーは少しスパンの長い話をした時期に話をしているにも関わらず、現場は目の前のことにしか興味がない、もしくはなぜ少し長いスパンの重要性を理解していない。いわゆる大人と子供の違いと良く言われること。話が全く噛み合わない。 本当であれば両方大切で「あいだ」に入ってもしくは「表裏」を考えながら話ができれば良いのですが、噛み合わない場合はどちらもその「あいだ」や「表裏」に立とうとしない。ま、子供の発想は目先のことをクリヤーすれば明日が来ると思っていることなのですが。  マネジメントのタイミングは今はどんなフェーズかを(なぜしているのか)をはっきりさせ的確に共有するディレクションをきちんと行なった上で、今の状況を考えて現場の自発性なり、自主性を積極的に支援することが必要です。 よくよく考えれば当たり前のことなのですが。